――最初に桐敷正志郎役をオファーされたときのご感想をお聞かせください。
GACKT 非常におもしろいキャラクターだと感じたから引き受けたんだ。
この『屍鬼』という物語は「吸血鬼」という僕にとって思い入れの深い題材で、
初めてTV で放送されるアニメとして、すごく良い形で参加できると思ったんだ。
――桐敷正志郎のキャラクターにはどんな印象を受けましたか?
GACKT 桐敷正志郎にはまだ言えない謎がたくさんあるんだけど、非常にミステリアスで、それでいて心の中に闇を持っている。
「人間に対する憎しみ」と
「過去のトラウマから来る葛藤」みたいなものを持っていて。アンバランスな中で生きているキャラクターなんだよね。非常にシアトリカル(劇的)な一面
と、つかみづらい性格というところが、このキャラクターのおもしろいところだと思うよ。
――本日、実際にアフレコをしてみて、いかがでしたか?
GACKT 録る前に監督とどんなイメージに仕上げたいのか話しをしてそれが明
確に分かったから、思ったよりスムーズに進行したよ。良いかたちでスタート
が切れたなと思う。僕の中ではもう少しシアトリカルなのかなと思ってたんだ
けど、監督と話をした中で「キャラクターのイメージ寄せ」を含めて、自分の
中で確立ができた。今後もすごくおもしろいアプローチができるんじゃないかな。
――今回、TV アニメのレギュラー声優は初めてということですが、今まで挑戦されてきた声優のお仕事、ドラマ、舞台の俳優のお仕事と違うところや意識しているところがあればお聞かせください。
GACKT いわゆる演技として僕の姿が見えるもの? ? たとえば大河ドラマや普通のドラマとは、意味合いが変わってくる。
アニメの声優は、自然に演じれば
演じるほど不自然になってしまう。やっぱり、アフレコは独特な文化だと思うんだよ。
僕は声が持つ魅力というものをとても感じていて、ずっと以前から声
優と言う仕事に興味があったんだけど、僕に愛情を持って接してくれる多くの声優の先輩たちの手前もあって中途半端なかたちでは参加はできないと思って
た。ソロになってから、どのタイミングでこの世界へ本格的に踏み込んでいこうか、いろいろ考えていたんだ。音楽をはじめて14 年経って、いろいろな作品
にも参加できるようになって、たくさん勉強もした。今なら声優として認めてもらえることができるんじゃないかと自分の中でも固まったから、声優活動を
はじめることを決めたんだ。良い作品になればいいなと思ってる。
――今回『屍鬼』は2クール(全26 話)の作品です。さまざまな展開が予想
されますが、作品に対する意気込みをお聞かせください。
GACKT 僕の顔がでない作品だから「このキャラクターの声は誰がやっているんだろう?」と思う人も多いと思う。
「へえ、GACKT が演じているんだ」って声から入ってくれれば、僕としては一番うれしい受け取られ方かな。
自分が過去にいろいろなアニメを見て、声の魅力、魔力に惹かれたように、見ている人た
ちに、僕の声の魅力に心酔してもらいたい。そこから実物の僕を知ってもらって「GACKT って良いよね」と思ってもらえるような自分でありたい。そう思っ
てる。
――今後、声優活動を続けていきたいとお考えですか?
GACKT アニメは日本を代表できる文化だと思うし、世界でもトップレベルだと思うんだ。そこで声だけで勝負したいと思ってる。
いわゆるイベント的な参加ではなくて、僕の好きな声優陣の方から「GACKT 良いよね」って認めてもらえるようにきっちりと参加したい。
そのために自分のスタイル、生き方も含めてここ数年間、ずっと向かい合ってきた。
昨日も僕が敬愛する池田秀一さんとお会いしたんだけど、そのとき、僕
のスタイルを「それでいいんじゃないか」と言ってもらったんだ。すごく嬉しかったし、やっと「少し認めてもらえたな」という気持ちが正直あった。今後、そう言ってくれた池田さんの気持ちにも応えたいし、ファンのみんなにもいろいろな作品を通じて、僕の声の魅力、魔力を聞かせていきたいと思ってる。
――ファンの皆さんにひと言。
GACKT 『屍鬼』は非常にミステリアスな作品です。
おもしろいテーマ、発想がこの作品にはあふれているので、ぜひ、お見逃しないように、お楽しみに!